高校2年の秋のこと。
部活の大会のために熊本まで来ていたときのことである。
今回泊まる宿は民宿だった。
かなり年季の入った建物である。
だが、こういうところがかえって落ち着けるものである。
部屋に到着して、荷物を置く。夕食までは自由時間なので部屋を見回す。
すると隣の部屋のふすまが開いていた。
そこには、部屋いっぱいに
ビスクドールが・・・。
昼見ればなんとも思わないのだが、夜見るのは怖いものがある。
さて、ここまで読んでくれてた諸君はお気づきになった思うが、
九龍は怖いものが苦手なのである。
友人が、
「うわぁ、ああいう人形って怖ぇ〜」
とか言っているのに対して、
「人形なら可愛いもんよ」
とか、強がってみます。
えぇ、内心ではこの友人以上にビビッていました。
その夜、布団の中でドキドキしながら眠っていたもんです。というか、寝てたかどうか。
ちょっとでもガタっ!!て音したら泣くかんな!大声出して泣くかんな!!
とか、訳のわからない強がりを心の中で反芻していると、
お約束どおりトイレに行きたくなりました。
いいか、ここで何か起きたらその場で泣きながら漏らすからな!!そうしたら恥ずかしいんだからな、わかってんのか?お前この野郎。
誰に言い聞かせているのかわかりません。仮に自分に言い聞かせているのだとしてもとても情けない気分でいっぱいです。
恐る恐る、トイレに向かって歩いていく。その道のりが何て遠いことか。昼はパッといける感じがしたのに、今はやたら遠くに感じる。
なるべく楽しいことを考えるようにして一歩、また一歩床を踏みしめてトイレへと向かいます。
あと少しだ!
あと少しでゴールだ!
トイレの中にはいればきっと便所神様が守ってくれるに違いない!
便所神様に守られるなら一晩中トイレにいたってかまわない!!
さぁ!この扉を開ければ便所神様の聖域だ!!
神よ!!我にご慈悲を!!
ぎーっ。
向こうから開く扉。そして・・・。
「あ、・・・こんばんは」
「ぐぎょうおぅわあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあ!!!!!!」
人類らしからぬ悲鳴。
そして気づくと、尻餅をついていて、相手も尻餅をついている。
相手は髪の長い人間の女性。
逆光のため、顔が良く見えずそれが余計に怖かったと記憶している。
すぐに駆けつける民宿のおばちゃんと、顧問の先生と一部の野次馬。
笑うだけ笑われ、顧問からはこっぴどく叱られ、相手の女性に謝り、そのあと疲れのためかぐっすり寝ることが出来ました。
顧問の先生の一言。
「まぁ、でもドラマとかだとこういう事が印象に残って、あとで恋愛に発展するもんなんだけどな!」
とか言っていたけど。
あれだけ怯えられては恋愛に発展する気配は見込めません。
漏らさなかったのがせめてもの救い(大泣)
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